- ■ウォーレン・バフェット (Warren Buffett)
- 1930年生まれ。ネブラスカ大学を経て、コロンビア大学ビジネススクールで経済学修士を取得。今やフォーブス誌の長者番付で全米NO.1の資産家とされるほどの資産を株で築く。
■ウォーレン・バフェットを成功に導いた、銘柄選びの極意
- 1.提供する商品・サービスが、半永久的に持続すると予測される。
2.マーケットの規模が世界的に大きく、成長の余地が残されている。
3.他がとうてい真似できないような、圧倒的な優位性を確立している。
■わずか1万ドル(120万円)を、50年後に300億ドル(3兆6000億円)にした男
- ウォーレン・バフェットは、間違いなく、今世紀で最も偉大な株式投資家だ。彼が大学院を卒業した時に持っていた資産は1万ドル(120万円)に過ぎなかったが、約50年後の現在、それは300億ドル(3兆6000億円)を超えてます。
単純に考えれば、『120万円→3兆6000億円』になった計算になります。ヤフー株どころではないんです。日本でも、近年、バフェットに関した本が続々と出版されるのも当然のことですよね!バフェットは20世紀を代表する投資の世界での成功者なのです。
■企業の価値は、将来性を生み出す現金の合計で決まる!
- バフェット流株式投資の根幹をなす考え方は、『企業の価値は、将来生み出す現金収入の現在価値を合計したものである』というものです。
例えば、今その企業が100万円の現金収入を得るとすると、それはそのまま企業価値が100万円増えることになる。それでは1年後に100万円現金収入を得るとしたら、それはどう考えたら良いでしょうか。例えば、今95万円を銀行に預けたら、1年後に100万円になる状況とします。この時には、『1年後の100万円=現在95万円』ということになります。
つまり、1年後に100万円得られるのなら、その企業は現在95万円持っていることと同じなわけです。要するに、将来の現金収入から金利分を差し引いたものが現在の価値という事なんです。
現在では、このように将来得るであろう現金収入を予想し、その価値を合計して計算する企業価値の測定法は、『フリー・キャッシュフロー割引モデル』として知られるようになっています。一般的には、株の価値を計るのに、『1株当たり利益の何倍の株価が妥当か?』という考え方が使われていることが多い。いわゆる、株価収益率(PER)という考え方です。
例えば、1株当たり利益が100円で、その30倍が妥当だとしたら、妥当株価は3000円ということになります。結局、企業が稼ぐ利益から、企業(または株価)の妥当値を考えようという事であり、基本的な考え方はバフェットの方法と一緒です。バフェットの使っているフリー・キャッシュフロー割引モデルは、『株価収益率という方法をより精密化したもの』といってもヨイと思います。
ちょっと話が難しくなってしまいましたが、要するに、バフェット流株式投資では、『あくまでも、将来にわたって、どれだけの現金収入を生み出していけるかどうかということが、その企業の価値を決める』と考えるのです。そうして計算された企業価値よりも大幅に割安のときに、その企業の株を買うというやり方です。
■ウォーレン・バフェットは、企業を丸ごと買うつもりで考える!
- その企業を丸ごと買収するには、その企業の株をすべて買えばよい。また、その企業をほんの1部だけ買いたいなら、その企業の株をほんの少しだけ買えばよい。
バフェットは、『その企業を丸ごと買うのも、その企業を1部だけ買うのも、本質的にはなんら変わりがない』。そして、『もし、ある企業の株を買うのであれば、その企業を丸ごと買うつもりで考えろ』言っています。
もし、私たちに豊富な資金があって、どこかの企業を丸ごと買収するとすれば、どのような企業を選ぶでしょうか?やはり、バフェットのように、現実的な考え方で選ぶのではないでしょうか。投資家が失敗するのは、だいたいが甘い見積もりで株を買ってしまうことが原因です。
『甘い見積もり』どころか、見積もり自体をせずに買ってしまうことも多いでしょう。株で夢を追うのはよいですが、実際に、その企業によって、どのくらいの利益が将来もたらされるのかを考えることを、怠ってはならないのです。
■ウォーレン・バフェットの徹底した現実主義が、大きな夢を実現させた!
- バフェット流の株式投資は、徹底した現実主義となっています。そこには、甘い見通しなんかが入る余地はないです。どんなに夢がある話でも、将来にわたってどれだけの現金収入を得られるのかの見通しが立てにくければ、投資対象になりません。
だいたい、現実的な部分を忘れて、夢ばかりを追って失敗するのが、株式投資の失敗者によくあるパターンです。その企業を丸ごと買うくらいのシビアさを前提として、その上で夢を追うべきなのです。
バフェット流株式投資は、当たり前のやり方であり、『あまりにも現実的過ぎる』という批判もあるようです。また、『夢を追うのが株ではないか』という反論もあるかもしれません。しかし、徹底して現実主義を貫いたバフェットこそが、今世紀最大の株式投資の成功者となり、世界の長者番付1、2位をを争うようになったという事実は忘れてはならない事だと思います。
■ヘッジファンドに振り回された世界の金融市場
- 1990年代は、ヘッジファンドという投機集団が、世界中の金融マーケットで大きく台頭した時代でした。その先駆けであるクォンタムファンドは、1992年に英国政府によるポンド買い支えに徹底対抗してそれを売り崩し、その成功により巨万の富を得ました。
その他、タイガーファンド、ロング・ターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)など、数兆円の資金を動かす勢力まで登場し、ヘッジファンドは、一時、『世界の金融マーケットで、最大の勢力』と言ってもよい存在にまで膨れあがりました。
ヘッジファンドの特徴は、ものすごい大きなレバレッジを利かせながら、買いだけでなく、空売りも仕掛けることです。レバレッジを利かせるとは、『元本の何倍のもお金を借り入れて、それで相場を張ること』を言います。ヘッジファンドのレバレッジの利かせ方は非常に極端で、例えば、1億円の元本に対して、50億年のお金を動かすようなやり方をします。
また、空売りというのは、『証券を借り入れて、それを売却するところから入り、値下がりしたところで買い戻し、利ざやを取ろう』という手法で、通常の『株を買うところから入り、値上がりしたら売るというやり方』の逆の手法になります。
バフェットの方法は、ヘッジファンドのやり方とまったく対照的です。まず、『株は買うものであって、売るものではない』という信念のもと、空売りは絶対にしません。
また、『投資はあくまでも長期的展望に立ってやるもの』という信念から、レバレッジを利かせて短期で勝負をするという発想はまったく持たず、あくまでも、自己資金の範囲で、じっくりと取り組む。
そして、ヘッジファンドは、時には、資金力にモノを言わせて、強引に相場を動かすことまでしますが、バフェットは、納得のいく銘柄を見つけて資金を投じたら、あとは静かに見守るという感じです。
要するに、バフェットのやり方は、非常に素朴であり、ある意味で素人的と言えるかもしれません。それに対して、ヘッジファンドの手法はプロフェッショナルという臭いをぷんぷんと発散させています。実際に、一時期、ヘッジファンドは非常に大きな投資成果を収めていたために、金融マーケットの関係者の多くが、ヘッジファンド的なやり方になびいて行きました。
■ヘッジファンドの失敗が教えるもの
- しかし、1990年代も終わりに近づき、ヘッジファンドを巡る状況は急変しました。マーケットを動かすほどの力があると思われていたヘッジファンドが、逆にマーケットに翻弄され、大きな失敗が目立ち始めてきたのです。
ヘッジファンドの行き詰まりを決定付けたのは、1998年10月に起きた、LTCMが事実上の破綻状態に陥るという事件でした。LTCMは、伝説のトレーダーとまで言われた『メリウェザー』やノーベル経済学賞受賞者の『ショールズ』『マートン』、アメリカ連邦準備制度理事会・元副議長の『マリンズ』など、まさに金融マーケットのスーパースター軍団でした。
その彼らは、途中まで順調に資産を拡大していきましたが、一度の大失敗ですべてを失いました。そして、皮肉にも彼らが助けを求めた相手は、長期投資家のバフェットでした。
バフェットの資金力を持ってすれば、LTCMを助けることは簡単な事だったのですが、バフェットはこれを断り、『IQが170にものぼる10数人の秀才たちが一生懸命働き、全財産を失おうとしているのだから、なんて馬鹿げたことなのだろう』と切り捨てました。
その後、ヘッジファンドの勢力は急速に弱まり、ヘッジファンド最大の勢力と言われたタイガーファンドは運用成績不振から解散に追い込まれ、ヘッジファンドの象徴と言われたクォンタムファンドは規模を縮小、今では、その活動の様子がほとんど聞かれなくなってしまいました。
それに対して、バフェットはどうでしょうか?昨今のすさまじいインターネット株相場の中で、一時はバフェットの姿もかすんでしまったかのように言う人もいましたが、その存在感は逆にますます増してきています。マイクロソフトの『ビル・ゲイツ』や、ソフトバンクの『孫正義』も、バフェットのことを尊敬していると公言しています。
■投資の原点は長期・現物投資!
- 『短期投資か長期投資か、信用取引か現物取引か』ということは、今までも何度も議論になっているところです。しかし、1990年代を通じての両勢力の結果を見れば、もう、結論は出てしまっているのではないでしょうか。
『長期投資、現物投資がよい』という話は、リスク管理の観点からだけ言われることではありません。バフェットの莫大な投資結果を見れば、それはむしろ、投資効率の問題から言われているのだと言ってもよいでしょう。
1990年代を通じての一連の出来事は、『長期投資、現物投資こそが、実は、安全性の点でも、効率性の点でも、最も優れたやり方である』ということを教えてくれていると思います。
■ウォーレン・バフェットの犯した失敗
- どんな投資家でも、失敗をしない投資家はいません。20世紀史上最も偉大な投資家と言われるバフェットでさえ、それは例外ではありません。バフェットは若い頃から非常に慎重、かつ聡明な投資家で、最初から順調に資産を増やしていきましたが、それでも初めの頃では、いくつかの失敗をしたそうです。
『私が犯した最初の過ち』とバフェットが自ら言っているのは、『繊維メーカー バークシャー・ハサウェイ社の株を、経営権を取得するところまで買い集めたこと』です。すでに、この頃(1965年頃)は、繊維業は斜陽化してきていて、バフェット自身も『このビジネスが有望でない事は、わかってた』と語っています。
『しかし、将来の展望が持てなくても、ある程度の利益を出していけるだろうし、何より、株価が極端に安い水準になっていたために衝動買いをしてしまった』とバフェットは言っています。そして、非常に優秀な経営スタッフを揃え、自らも経営者としてバークシャー社を上手く運営しようと努力したのです。
しかし、最高の頭脳が最大の努力をしても、結局、繊維業界の斜陽化には勝てず、1985年には、バフェットは繊維ビジネスから一切手を引いたのです。
その後、バークシャー社は、繊維会社としてではなく、バフェットの投資活動の拠点として、世界中にその名をとどろかせることになったのですが、繊維メーカーとしてのバークシャー社への投資では、バフェットは大いに苦い思いをしたのです。
■いくら安くても、魅力のないものは買うな!
- バフェットは、他にも、『株価があまりに安いので、つい衝動的に買ってしまい失敗した』という経験をしていて、自ら『バーゲン買いの愚行』を話しています。『どんなに安くても、将来展望の見えない株は買うべきではない。そういう企業はタダ同然でさえ買うべきではない』。バフェットは、こうような教訓を、『非常に苦労して、ようやく学んだ』と告白しています。
そして、様々な苦労をしてバフェットが得た株の極意とは、『非常に価値ある企業の株を、非常に魅力的な水準で買う』という、一見当たり前に思えるようなことだったのです。しかし、ここで私たちがぜひ学ぶべきことは、バフェットにとって『非常に価値のある企業』とは、どんな企業なのかという事ではないでしょうか。
■ウォーレン・バフェットを成功に導いた、銘柄選びの極意とは?
- バフェットの投資家としての成功に大きく貢献している銘柄は、『コカ・コーラ』『ジレット(ヒゲ剃りの企業)』『ディズニー』など、誰もが知っている一見退屈そうな銘柄ばかりです。バフェットがこれらの銘柄に見出した共通した魅力とは、
1.提供する商品・サービスが、半永久的に持続すると予測される。
2.マーケットの規模が世界的に大きく、成長の余地が残されている。
3.他がとうてい真似できないような、圧倒的な優位性を確立している。
などです。要するに、私たちがバフェットから学ぶべき銘柄選びの極意とは、『自分が生きている間中(できれば自分が死んだ後でも)、繁栄と成長が続くほどの企業を探せ!』という事ではないでしょうか。
■インサイダー情報で投資したら、破産する!
- 最後に、私たちがバフェットから学ぶべき、最も重要な原則を確認しておきましょう。それは、『自分の頭で考えて、投資しろ!』という事です。
これまた、当たり前のように思われるかもしれませんが、株式投資の世界に一歩足を踏み入れてしまうと、ついこの原則を忘れ、誰かから『美味しい情報』を教えてもらいたいという誘惑に駆られてしまう。しかし、ほとんどの場合、それが失敗への第一歩となります。
バフェットは、『100万ドルを持っている時に、インサイダー情報(企業幹部しか知り得ないような情報)がたっぷり手に入ったら、1年後には破産している』と投資家たちに言っています。バフェットなら、様々なインサイダー情報を得ることも可能でしょうが、彼はそのような情報にはまったく関心を示しません。
『コカ・コーラやミッキーマウスが、何十年後、世界中でもっと多くの人に愛されている姿が想像できれば、それが何よりの投資の根拠になる』とバフェットは言っています。そうしたことを想像するのに、インサイダー情報は必要ない。
何年か前に、インサイダー情報をたっぷり仕入れながら株を売買していていた大物総会屋が、結局は大損し、あげくの果てには、証券会社に損失補填を迫り、逮捕されるという事件が起きました。インサイダー情報といえども、しょせんその程度のものだと考えておいた方が、よいのかもしれません。
それでも、つい『美味しい情報』を探し求めようとしている自分に気付いたら、その時は、『何十年という雄大なビジョンを描きならがら、悠々と投資をしているバフェットの姿』と、『インサイダー情報でコソコソと投資していた大物総会屋』を思い浮かべ、どちらがよいのか考えてみるとよいでしょう。
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